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第14回総会・講演会の報告

 平成27年6月6日国際フォーラム研修室で第14回総会・研究大会を開催しました。今年度のテーマは「地域に根差した地域包括ケアシステム構築と保健師の役割」とし、地域に根差したケアシステムづくりを被災地である石巻市で実践されている長純一(ちょう じゅんいち)先生が教育講演をしてくださいました。

日 時:平成27年6月6日(土) 午後2時半から4時半
会 場:東京国際フォーラム ガラス棟 G410会議室
テーマ:地域に根ざした包括ケアシステムの構築と保健師の役割
教育講演:講師 宮城県石巻市立病院開成仮診療所長 長 純一 氏
     >>配布資料
講演内容:
 長先生は、信州大学医学部をご卒業後、長く佐久総合病院や川上村で農村医療、在宅ケア、緩和ケア、地域づくりに従事され、また、東京足立区の健生会病院で都市における在宅診療・ケアを経験され、合わせて勢力的に研修医等の従事者の育成に当たられています。川上村では毎夕、地域保健医療関係者が集まり、その日の活動状況を共有し、それぞれの対応方法を調整するケア会議を実施されていたとのことでした。(スライド1、スライド2)

 平成23年の東日本大震災の被災地の支援をきっかけとして、平成24年に石巻市立病院開成仮診療所を立ち上げ、翌年には地域包括ケアの拠点となる地域包括ケアセンターを開設されています。

【日本の医療】
 先生は本題に入る前に、日本の医療の特徴を話されました。日本は世界に先駆けた国民皆保険制度を持ち、医療機関へはフリーアクセスであること、自由開業制で民営3の医療機関が多いこと、医学部と医師会の力が強くプロフェショナル・オートノミー(専門職の自律性)により専門医が多く、家庭医・総合医が少ない。しかし低社会保険費で世界一の長寿を実現させていることを紹介されました。

【長先生の基本的な立場】
 先生の基本的な立ち位置は、医療は「社会的共通資本」でなければならないし、医療・命の公共性と公平性こそが基本であり、地域包括ケアはPHC(プライマリーヘルスケア)の原則、「適正技術」「住民参加」「行政責任」を踏まえた活動が重要と思って活動してきていることを話されました。先生の石巻市での活動もこの原則を踏まえ、医療は公共性の高いものであり社会的共通資本となることを実現させようとされていることが伝わりました。(スライド3)

【石巻市での活動】
 石巻市開成仮診療所での主な活動は外来診療、在宅ケア、仮設住宅組織(自治会)の支援等のコミュイティ形成支援、地域づくり、そして市役所内での地域包括ケア整備の体制づくりなどでした。開設前に在宅連携推進拠点の指定を受けられ、これは異例であったとのことです。また引き続き全国から多くの研修医、学生を受け入れ人材育成をされています。被災地特有の健康課題はスライド6に示したものです。先生は地域に根差した地域包括ケアシステムのためにはセンター機能を果たす他職種で実践している拠点:地域包括ケアセンターが不可欠とし、その後は地域包括ケアセンターの立ち上げ、地域包括ケアシステムの構築に向けた地域包括ケア推進協議会の設立を平行して進められました。推進協議会のメンバーには住民参加を実現するために自治会を含めるように精力的に働きかけられました(スライド4,5,6)

【「地域包括ケア」の取り組みの経過】
 取り組みの経過の中で、先生は関係者と話し合いを重ね、副市長を中心とした関係者での勉強会を開催し、システムな地域包括ケアが提供されるものでなければならないこと、単に役割を担い合うのではなく、「合議」で総合的になされること、そのためには市役所の縦割りの改善も必要なことを力説されました。そして顔の見える関係づくりを強調し、「会議の開催」「研修会・講演会の開催」を重ねました。これらの場は顔の見える関係づくりはもちろん、情報共有、在宅医療の知識の普及等在宅医療に関する底上げがなされたとのことです。(スライド7,8,9)

【地域包括ケアシステム推進計画基本構想】
 石巻市では地域包括ケアシステム推進計画基本構想が作成され、「地域包括ケアシステム導入の目的」「地域包括ケアシステム構築に向けた体制」「地域包括ケアシステムマネジメント体制」「地域包括ケアシステム将来展望」等が作成され、さらに「医療分野の役割」「介護分野の役割」「地域コミュニティの役割」が整理されました。(スライド10,11,12,13)
 地域包括ケア推進協議会には「医療・介護部会」と「被災地支援・コミュニティ部会」が置かれ、住民組織として仮設住宅自治会連合推進会が発足し、長先生はこの会を支援・連携されています。行政部局としては、健康部:健康推進課、介護保険課、福祉部:福祉総務課、生活再建支援課、復興政策部:地域協働課、復興住宅課、病院部:教員管理課の8課による調整会議が開催されています。

【実際の取り組み】
 地域包括ケアシステム推進実施計画の重点施策は、1.被災者の自律した生活支援 2.市民主体の地域コミュニティづくり 3.地域包括ケアシステムづくりと人材育成の3つが掲げられています。(スライド14)
 これらの実施計画の中で行政と仮設住宅自治連合会推進会との情報共有が進められ、自治会の自治活動は発展し、主な活動は定期的な集まりの場づくり、個別的な見守り、生活情報の提供・生活ルールの維持等とのことです。

【今後の取り組み】
 長先生は、地方創成というが、地方においては人を育て、人を世話する機能を社会全体で整備することであり、介護はもちろん、生活困窮者自立支援、子育て支援が課題となると話されました。これまで、子育て・教育・医療・福祉が社会的共通資本と位置づけられてこなかったことが、そのまま地方の課題、被災地の課題になり、これらの課題解決のためには、地域を診る総合診療の「技術」とともに「住民」と「行政」の協働、他職種連携、他職種協働教育を充実させることと話されました。
 人が育ち(教育)、人を世話する(保健・医療・福祉)機能が社会全体で社会共通資本となることが、全国の課題であり、保健師に期待する役割であること、地域包括ケアシステムの構築はこれらを促進させるものであり、そこに保健師も大いに参画することを期待するとエールを送ってくださいました。

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