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第76回日本公衆衛生学会総会 自由集会報告

 自由集会は第76回日本公衆衛生学会の2日目(11月1日(水))かごしま県民交流センターにて、30名の参加を得て開催しました。山口副会長の挨拶で開会し、司会進行は鹿児島県肝付町地域包括支援センター保健師歴26年のベテラン保健師の能勢佳子さんが務めてくださいました。話題提供は南大隅町の保健師歴13年の松山陽子保健師さんでした。



【話題提供の主な内容】
 委託に対するマイナスイメージ、ヘルス部門では、業務分担でビジョンのすり合わせがない、仕事と家庭のバランスのくずれを経験。就職13年目となり再チャレンジ。子育て世代包括支援センター設置の準備、委託の見直し、課題の明確化、目的の共有化を図る必要性を感じている。しかし...現状維持でも批判されない。意見を出したものが頑張らなきゃの雰囲気の中で自分と葛藤している。

【司会者と話題提供者の質疑応答】
Q:子育て世代包括支援センター設置に向けて目指したい共有したいものはありますか?例えば課題の明確化はどうやって共有できますか?
A:地区診断をして現状を見せる化して共有したいと考えている。
Q:委託先も共有するのに入っていますか?
A:委託先は入っていません。
Q:委託先がないと判断したのは?
A:育っていないから。ただ、委託された業務だけをするように感じる。
Q:何のためにするのかわかっていないという危機感を持っているのですか。
A:そうですね。
Q:小さな町では、委託先が限られる。そんな時はどう折り合いをつけるかしかないのか。フロアのみなさんの委託に対する成功体験、失敗体験を話し合っていただきたい。

【グループに分かれて意見交換】
 まず初めに同じ誕生月の人でグループを作り、委託でうまくいった体験とうまくいかなかった体験を共有しました。

①自己紹介(所属、名前、何年目、最近あったうれしかったこと) 5分間

②個人ワーク(3分間)
 自分の体験をふり返りポストイットに書き留める。体験がない人は、委託のこんな所が難しそう、こんなことは委託したらいいのになあと思うことを書き留める。他職種との連携におきかえてもよい。

③グループメンバーとの共有
 意見を書いたポストイットを貼り付け、うまくいった体験やうまくいかなかった体験の中で工夫したことについて話し合いました。



 次に保健師として大事にしたいことはここだと思うことを出し合い書き留め(15分間)、その後発表し共有しました。(実年齢ではなく、生まれた月が一番若い人が、「私はここが元気づけられた。こうしたいなあと思った」ことを発表)

①1月生まれ
 目的を共有し、相手の思いも聴いて、自分ができる所、相手ができる所を把握し、うまく連携をとる。

②3月生まれ
 解決するための活動が行われているか話し合い、住民がうまく解決できるように働きかける。

③4月生まれ
 互いの仕事内容の理解、委託する目的について話し合いを重ね連携する
 「目的共有」「話し合い」「専門性を互いに理解し関係性を作る」

④5月生まれ
 互いの業務の理解と尊重、できることできないことを見極める、同じ目標に向かう。周りも巻き込む力も大事、住民主体であれば場を提供し下支えする。

⑤6月生まれ
 顔の見える関係で直接出向いて話し合い情報を収集する。質の良いホステスや女優になることも必要。

⑥7月生まれ
 日々の話し合いができているところは委託先とうまくいっている。強みを生かす。委託先が決まっている時は、提案などをしたりしていく。他職種や職場内の風通しを良くするために意見を聞きながら合意を図る。保健師は、ファシリテーションスキルを身につけ、隙間を埋める専門性を発揮する。「あまり力まず、自分達らしく活動することでしょうか」

⑦8月生まれ
 委託先とのすり合わせが十分できず、二度手間になることもある。委託先と共に学べる研修があるとうまくいった。委託先の力量を理解し、研修の必要性を気づいてもらうような働きかけが必要。また、フォローも必要。委託により保健師の実務は減るが、労力は同じ。関わり続けることが必要。複数ヵ所の委託の場合、全体をみてどこに課題があるか見極め、底上げを図り質を向上させることが保健師の役割。

⑧9月生まれ
 これまでの経験を活かし、周りの人に説明できる能力が重要。委託先に求める目的を明確化することがなにより大切。

⑨11月生まれ
 成功体験に大切な要素は、まず、委託先に働きかける前に足元を固めること。課内で共有し、課題を明らかにすること。課内の合意形成を持って、委託先に話をする。このプロセスが大事。もう一つは、保健師以外の職種を味方をつけること。一人ではできないことが当然ある。保健師を理解してくれる他職種を日頃から作っておき、応援を頼む。他職種との関係性を作っておくことも大切。

【グループワークの発表を受けて松山保健師さんの感想】
 保健師でよかったと改めて思います。先を見る力、全体を見る力、つなげる力、そして情熱もある。「こうありたい、こうしたい」という思いの表れなんだと再確認できました。私も突っ走って、相手の意見を聞かなかったり、相手の力を見ることをしなかったり、求めることばかりだったことを学ばせていただきました。すごく元気になりました。ありがとうございました。

【まとめ (能勢保健師さん)】
 私も元気をもらいました。実は、私は、この自由集会にだけ参加するために日本公衆衛生学会総会に参加していました。自分がしんどいなあと思ったときに、語れる同じ職種の人がこんなにいると感じられる場でした。ここ3年ぐらいは業務が忙しく、行けなかったんですが、鹿児島で開催されたので、今回、ここに来させてもらったんですが、やはり、元気をいただける場だなあと改めて思います。

【閉会の挨拶(山口副会長)】
 この会は、発足当初から時代が変わっても保健師らしさ、保健師ってなんだろうって現場の実践の声を話し合って確認ができる、そういう場にしたいという思いで活動してきて、今日、そのことが再確認できて本当によかったと思います。毎年、日本公衆衛生学会で自由集会をさせていただいております。今回は能勢保健師さんのご協力もあり、開催することができ、私たちスタッフも元気をいただき、やってよかったと思いました。日本保健師活動研究会は自由集会の他にも勉強会も開催し、講師をお招きし、保健師って何だろうと話し合うきっかけを作ったりしています。また、参加できない方のためにHPの会員専用ページで勉強会の報告もさせていただいています。来年度も元気の出る自由集会を開催したいと思います。本日は、どうもありがとうございました。

■アンケート結果(n=25)







話題提供「委託事業にかかる保健師の役割」はいかがでしたか?(一部抜粋)
・共感できる部分がたくさんあり、本音で話してくれてよかった。保健師活動をする意義を再確認させていただきありがとうございました。
・委託についての課題を具体的に考える投げかけでした。
・現場の切実な思いに共感すると共に改めて保健師の役割、保健師とは考えさせられました。
・話題提供はグループワークの導入としてとてもよい内容でした。
・委託事業の話題をきっかけに事務職との連携など職場内でも活かせる内容に発展しました。
・事業委託をした経験はないが、話題提供からこれまでの自分の保健師としての業務とその中で悩んできたことを振り返るきっかけになった。
・今はまだ経験年数が浅く、委託業務を実際にしたことがないですが、今後このような経験をするだろうなと思いながら聞きました。
・同じ悩みを抱えている仲間がいることがよくわかった。
・保健師って何、何をやる人?わからない若い職員が増えてきています。いいテーマで良かったです。
・自分自身のことをふり返り、同じ悩みがあったと共感できました。

意見交換(一部抜粋)
・立場が違う人達との意見交換で少し気持ちが楽になった。語ることは大切だなあと感じた。保健師の先輩方の話しや考え方を直接聞けたことが本当に良かったです。
・進行の仕方、素敵でした。
・現在は教育の分野ですが、意見交換やこの自由集会へ参加する中で現場に戻りたくなりました。
・同じ保健師同士、やっぱり元気が出ました。楽しかったです。ありがとうございました。
・同じグループの方々とお話することで、これまでの活動を思い出し、保健師の原点に戻ることができました。
・いろいろな立場(職歴、経験年数等)の方と意見交換ができたことで保健師にしかできないこと、保健師の役割について学びあえることができよかった。改めて保健師という仕事の素晴らしさを再確認でき、自分の仕事に誇りを持つことができた。
・全国の保健師の声がきけて保健師という職種の素晴らしさ、パワーを感じました。1人ではない!という気持ちになれました。
・あらためて保健師にとって必要な力は何かがわかり、今後の業務に反映できそうです。
・同職種での話ができて、とても元気をいただきハッピーになりました。
・グループワークの進め方がうまく、楽しく話し合いでき充実しました。
・みなさんの活動が伝わり、元気がいただけました。とても勉強になりました。

その他のご意見
・とても好意の持てるファシリテーターでした。
・近隣の保健師と偶然同じグループになりました。今後も地域の方と語られる時間があればうれしいです。
・保健師の専門性について少し悩んでいたので話し合いができて解決の糸口をみつけることができました。
・コミュニティーナースが出てくるなど、保健師の存在意義が見えにくくなっている気がします。どうアピールするか、保健師の役割意義を語り合いたいです。

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