ごあいさつ
はじめに
会長 平野かよ子
日本保健師活動研究会(旧 日本公衆衛生看護研究会)は、平成13年(2001)年5月に白金台にありました国立公衆衛生院で産声を上げました。それは、保健師は「公衆衛生の担い手」であるといった自負、アイデンティティがありますが、保健所法が地域保健法に改正され、「公衆衛生」の言葉が消えていくことへの危惧から、保健師が公衆衛生を守り、公衆衛生看護を維持・発展させる者であることを貫き、これに賛同する保健師等が集まろうと立ち上げました。
本会は先に研究や理論ありきではなく保健婦が「公衆衛生」の視点、「地域をみる」視点をもった活動事例、住民・関係者と公衆衛生活動の共有化を図った事例を分析し、保健婦の保健活動方法を明らかにし、これらを基に公衆衛生看護の概念化、そして公衆衛生看護学の体系を築こうとする会です。保健師の実践事例を語り合い、振り返り、実践知を整理し、実践の学としての公衆衛生看護を概念化・体系化を図ることを探求し続けてきています。
研究大会
本会は総会に合わせて、毎年、研究大会を実施しています。できるだけ幅広い知見を得、社会の動きを見据え、住民の生活を見る活動を展開できる保健師を目指し、幅広い領域の講師を招いて学ぶ場を作ってきました。これまでに学んだことと、実践の活動の分析から、できるだけわかりやすく活動方法を現し、社会に発信してきました。
表1は公衆衛生看護活動の特性を整理したもの1)で、公衆衛生看護活動の基盤をなす方法論として整理しているものです。
表1 公衆衛生看護活動の特徴
【活動方法論】 ・地域全体を視野に入れる ・個から全体へ:全体から個 ・複眼的(虫の目と鳥の目) ・アウトリーチ ・双方向性 ・連結・連携 ・統合化 ・協働 ・相互エンパワメント参加 ・合意形成 |
1)平野かよ子編:地域特性に応じた保健活動-地域診断から活動計画・評価へ
の協働した取り組み-、ライフ・サイエンス・センター、2004
今後の方向性
保健師は地域出向き、人々の傍らに居て、話を聞き、語りあうものです。本会の活動の主ある研究大会と総会は、どうしても参加者に出向いてもらうことを前提になり、東京近郊で実施しがちでした。しかし本会も保健師の活動方法を貫き、研究会メンバーが保健師のいる場にできるだけ出向き、語り合う拠点づくりを「地域交流会」として展開することに力点を置きます。この立ち位置で全国を行脚を展開し、そこそこでの実践が改善され、保健師が勇気と希望を持って活動する社会を築く一翼を担い続けます。