平成27年度 第2回勉強会と第3回勉強会:事例検討
<第2回>
日 時:平成27年9月20日(土) 午後1時半から4時半
会 場:新宿区立環境学習センター
テーマ:事例検討で実践力をアップさせよう
<第3回>
日 時:平成28年2月20日(土) 午後2時から5時
会 場:日本公衆衛生協会会議室
テーマ:職場で気楽に取り組める事例検討会の進め方
■第2回勉強会
本会研究会の今年度の活動方針を、保健師が『地域を俯瞰し、生活をトータルに理解する』ことが保健師活動の基盤であり、『地域診断」と『事例検討』の力量向上を重要課題とするとしました。新任期の保健師が地域に出向き、住民としっかり向き合える力を付けるには事例検討です。そこで第2回勉強会のテーマは"事例検討で実践力をアップさせよう"としました。
事例検討は、本会会員である神奈川県の保健師さん方が、有志の保健師で事例検討会を定例化されている経験を活かして進行してくださいました。初めに本会役員の塚原洋子氏が事例検討についてご講義くださいました。
事例提供者は神奈川県下の市町村で地域包括支援センターに所属する保健師さんで、3グループに分かれて同じ事例について検討しました。高齢者を抱える家族の事例であり、包括支援センターの事務職や福祉職の理解を得てどう支援したらよいかと行き詰まっておられました。
すでに把握出来ている情報、推測している情報、不足している情報を事例の家族全員について整理し、「事例の課題は何か」とアセスメントに入り、優先課題を考え今後の支援の進め方を話し合いました。みんなでホワイトボードに向かい、それぞれが取り組み、かつ、みんなで取り組んでいるといった事例検討の楽しさを体験できました。
■第3回勉強会
1回目の事例検討会では、参加者から日頃悩んでいることをみんなで考える学びの場となったとの感想が多く、是非もう一度事例検討会をとの会員の声を受け、第3回の勉強会を企画しました。
"長い時間でなくてもいい""誰もが司会の役が担える""事例提供者と参加者に気づきがあり、私も検討してもらおう!"と思える事例検討を各職場で気軽に取り組み、気づきが得られるような事例検討を運営する方法を学ぶことをねらい、テーマは"職場で気楽に取り組める事例検討会の進め方"としました。
初めに塚原洋子氏に「職場で気軽に取り組める事例検討会の進め方」について30分程度講義をお願いしました。
検討事例は会員が3事例用意しました。それぞれの事例のタイトルは、①産後うつで子どもの養育に困難をきたすが、家族の病気の理解が得られないケース、②在宅人工呼吸器を装着しているALS患者の家族支援について、③学習障害がある子どもと希死念慮があるが受診拒否の母及びその家族への支援でした。
参加者はグループに分かれ、それぞれのグループの中で『事例提供』『司会』『板書係』等の役割を決め、役割を意識して日本看護協会が作成したDVD "実践力アップのための事例検討の進め方"を見て、事例検討をイメージしました。
グループでは、グランドルールを読み上げ事例検討のステップを意識して進めました。一般に事例検討の司会者は「ファシリテーター」といわれますが、司会者は全員が発言するように配慮し、短い時間であってもステップが踏めるように進行し、参加者に気づきをうながす質問をするようサポートするなどを学びました。また、この司会者役は、昨今地域づくりや地域ケアシステムの構築のための住民や関係者との話し合いにも生かせると思います。住民や関係者がつかんでいること、思っていることを出し合い、課題を絞りこみ協働することの合意を得るプロセスにも使えるものと思われました。司会役が誰でもできるようになることで、若い保健師さんも住民等とのミーティングに自信が持てるようになるでしょう。
それぞれの職場で気軽に取り組める事例検討は、すでに手がけ困っている事例とともに、これから手がけようとしている事例について、みんなで共有し、支援の方向性・留意点を整理し、検討してから支援を開始することに効果的であることを確認しました。
>>配布資料(会員専用ページ)